4.ダイアフラム圧力計
( 1 ) 原 理
ダイアフラムは、弾性のある平面に垂直方向へ撓み易い円板状の受圧素子である。弾性を利用する物と、単に隔膜として使用される物とがある。一般にダイアフラムの撓み量(変位)は少ないので、拡大してもこの変位で指針を動かす事は困難であり、電気信号に変換して計器に指示させる場合が多い。近年の圧力センサ・圧力伝送器・差圧伝送器は、この方式である。
工業用のダイアフラム圧力計は、電気変換素子により、ダイアフラムの歪を捕える半導体歪ゲ−ジ式と、ダイアフラムの変位を捕える静電容量式の2つに大別される。
( 2 )半導体歪ゲ−ジ式
半導体歪ゲ−ジは、単結晶シリコンウェハから短冊形に切断したバルクを、ポリイミド等の台紙に固着させたバルク型と、金属製のダイアフラムへ真空蒸着、プラズマCVD等の薄膜製造技術を用いて、半導体を形成した蒸着(薄膜)型と、単結晶シリコンウェハをエッチングによってダイアフラムに加工し、その必要な部分に不純物を拡散して歪ゲ−ジを作る拡散型がある。
[1] バルク型半導体歪ゲ−ジ
金属歪ゲ−ジの貼付型と同様に金属ダイアフラムに接着して用いる。
[2] 蒸着(薄膜)型半導体歪ゲ−ジ
これは、半導体薄膜技術進歩により、金属ダイアフラム上に直接薄膜形成出来る為、接着の悪影響がほとんどなく、これを用いた幅広い用途の圧力センサ・圧力伝送器が現存している。
[3] 拡散型半導体歪ゲ−ジ
単結晶シリコンウェハをエッチングにより、ダイアフラムを作る。歪ゲ−ジは、不純物を高温で選択拡散させて形成する。この歪ゲ−ジは、小型であり、シリコンウェハの為、アンプ回路迄も同時に作る事が出来、ICを作るのと同様大量生産が可能で、たいへん安価に製作出来る。しかし、高圧用が出来ない。受圧媒体がドライエアに限る。等の問題もあり、対策が必要となる。
これら半導体歪ゲ−ジをホイ−トストンブリッジ回路に組んで、ダイアフラムの歪をピエゾ抵抗効果の抵抗値変化として検出する。この測定回路の出力を大きく取る為に、4辺共歪ゲ−ジとし、ダイアフラム上の引張歪と圧縮歪が発生する位置に配置する。
その為、4辺の歪ゲ−ジの隣り合う辺の歪ゲ−ジの抵抗値が逆に変化する。依って、1辺の時の4倍の出力が得られる事になる。図6にホイ−トストンブリッジ回路を、図7にダイアフラムの加圧変形状況を示す。
( 3 )静電容量式
受圧素子のダイアフラムと、狭いギャップを経て対向する平板と
の両面に電極を設け、ダイアフラムの変位を静電容量の変化として捕える方式である。ダイアフラムの材質は、金属・セラミックス・シリコン等が用いられる。図8は、ダイアフラムの両側に対向する2つの電極を持ったシリコンダイアフラム差動静電容量型の構造を示し、差圧センサ・差圧伝送器とされる物である。測定圧2を大気に開放した基本構造にすれば、ゲ−ジ圧測定が出来る物になる。
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